世界遺産の申請から正式登録までの流れ

世界遺産リストへの登録は、まず各国の関係機関が自国内の物件を選定して国内暫定リストを作成し、更にその中から登録推薦をする物件を決定してユネスコの世界遺産センターに推薦します。

そして専門機関による現地調査等が行われて評価報告書が作成され、世界遺産委員会の場で評価報告書に基づいての最終審査が行われ、そこで承認されると世界遺産リストへの登録が正式に決定されます。

日本における世界遺産登録申請の流れ

日本の場合は、まず専門家による検討委員会等で審議されたのち、外務省や文化庁、国土交通省などによって構成される世界遺産条約関係省庁連絡会議を経て国内暫定リストへの登録が決定されます。

そして、その中から保全計画や環境整備など世界遺産に正式に登録されるための条件が整ったものを推薦物件として選び、外務省を通じてユネスコ世界遺産センターに提出するという流れになっています。

世界遺産の登録基準

世界遺産として登録されるには、「世界遺産条約履行のための作業指針」で示されている下記(1)~(10)の登録基準のいずれか1つ以上を有している必要があります。また、真実性や完全性の条件を満たし、自国の法律によって適切な保護管理体制がとられていることも必要です。

    世界遺産登録基準
  1. 人間の創造的才能を表す傑作。
  2. 建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値感の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すもの。
  3. 現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)。
  4. 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本。
  5. あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの。
  6. 顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
  7. 最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
  8. 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本。
  9. 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本。
  10. 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。

上記登録基準のなかで(i)~(vi)のうちひとつ以上を有した物件が文化遺産となり、(vii)~(x)のうちひとつ以上を有した物件が自然遺産となります。また、文化遺産と自然遺産の両方の登録基準を有する物件が複合遺産となります。

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